福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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同性婚訴訟

『部落解放』2019年4月号

 

 二月一四日、バレンタインデーの日に、同性婚を認めないのは憲法違反だとして、一三組のカップルが裁判を起こした。この日、提訴の報告会、懇親会に出席した。みんなウキウキワクワクしていて、がんばろうという気迫に満ちていた。会場全体に自由と愛があふれていて、会場にいるだけで幸せになった。もちろん、ここまでの道のりは容易ではなかっただろう。しかし、画期的な日。提訴は大きな一歩である。未来を切り開いていく大きな一歩である。司法にボールは投げられた。そして、さらに大きくボールが投げられたのは、国会に対してである。立法の不作為が問われているからである。
 同性愛、異性愛、多様な愛のかたちがある。世界では二〇カ国以上が同性婚を法的に認めている。今年五月、台湾はアジアで初めて同性婚を合法化する。
 同性同士で結婚しようとすると、現在、結婚届を出しても不受理になる。結婚届を出すことができないのである。異性愛の人たちは、結婚届を出すことと出さないことのどちらかが選択できる。これに対して、同性愛の人たちはそもそも結婚届を出すことができないのである。
 結婚届を出すことができないので、配偶者とならず、法定相続人とはならない。パートナーが亡くなったときに、法律上は赤の他人であり、何も財産を受け取れないのである。同性愛の人によく聞かれてきた。どうやってパートナーに財産を残すことができるのか。ひとつの方法が養子縁組である。実際、同性愛の人たちのなかでは、結婚して夫婦になることができないので、養子縁組をして財産を相続させるということもある。しかし、実際はパートナーなのに、親子関係をつくるというのも変な話である。赤の他人でも、遺言で財産を残すことができる。しかし、配偶者であれば税金の控除が認められるが、赤の他人なので控除はなく、多額の税金を払うことにもなりかねない。また、法定相続人の人たちから遺留分を請求されることもある。
 二人で築き上げた財産でも、何も実質的にもらえなかったり、経済的には大変である。別れるときに、無一文で追い出されたり、さまざまなことが起こりうる。また、パートナーが手術をするときに、家族でないとして同意書にサインができなかったり、あるいはパートナーの家族からお葬式などのときに喪主になるなとか、お葬式から閉め出されるなど、いままでさまざまな問題が起きてきた。実は、異性愛の事実婚の場合は、長い間の判例などで、別れたときの財産分与や慰謝料が認められたり、遺族年金などの受給が認められたりしてきた。しかし、同性愛の場合はこれからである。だからこそ自治体で、パートナー条例をつくって、公がパートナーであることを証明しようという制度もできてきた。まだ限られた自治体であるが、それは同性愛の人たちを応援しようというひとつの仕組みである。自治体のパートナー条例はひとつの方法であるが、これでは法定相続人にはなれないし、相続税や配偶者控除などの税法上の配慮ももちろん得られない。だからこそ、同性婚を認めてほしいという声が出てくるのである。
 日本人と外国人の場合を考えてみよう。異性愛の場合であれば、配偶者ビザが取得できる。日本人が外国人と結婚して配偶者ビザを取ってもらえば、もちろん一緒に住めるのである。長期間いれば、永住権が取得できる。しかし、同性同士では配偶者ビザは認められず、就労や学業など他の滞在許可を得なければ、日本に住むこともできない。
 いま、法務省とこのことを交渉している。同性婚が認められている国で結婚届を出した二人が日本に帰ってきたときに、配偶者はビザが取れずに滞在できないことになる。配偶者ビザが出せないのであれば、せめて特定活動のビザが出せないかという交渉をしている。
 男性の弁護士同士で結婚式を挙げ、『私たち弁護士夫夫です』という本を書いた人たちもいる。女性たちのカップルで、結婚式を挙げ幸せに暮らしている人たちもいる。原告のなかには、かつて男性と結婚し、子どもを産んで育てていたが、現在は離婚していて女性と一緒に暮らし、子どもを一緒に育てている女性もいる。みんなそれぞれに自分の幸せは何かを手探りで求め、つくりだそうとしている。同性婚を認める法律をつくりたいものである。




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