福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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子どもへの暴力をなくそう

『部落解放』2019年5月号

 

 「子どもに対するすべての暴力をなくすプロジェクト」をつくり、いま、活動している。
 子どもに対する虐待で、子どもたちの死亡が相次いでいる。ほんとうに動くべきときである。児童相談所や、子どもシェルター、少年院、子どもオンブズマン、せたがやホッと子どもサポート、大阪の西成区にある子どもの里、福岡の子どものグループサポートなど、さまざまなところを訪れ、また、世田谷区や明石市など、先進的な事例を実行する自治体に施策を聞いてきた。
 何ができるか。何をすべきか。
 国会では、ようやく体罰禁止を法律に規定する法律改正案が議論される。
 二〇〇六年に、中核市も児童相談所を設置できるようになった。しかし、中核市のなかで、現在、児童相談所があるのは、横須賀市と金沢市のわずか二市だけである。明石市は四月からの設置である。中核市は多数あるのだから、もっと増えるべきである。二〇一六年に東京都の二三特別区に設置の権限が与えられた。東京都にあるのは、一一カ所(新宿のセンターのほか、江東、品川、世田谷、杉並、北、足立、八王子、立川、小平、多摩)である。
 中核市などの設置が進まないのは、財源と人材の問題があるからである。政府による支援がまさに必要である。厚生労働省にがんばってもらいたい。
 ところで、私は、文部科学省にこそがんばってもらいたいことがある。子どもは親を選べない。子どもにとって親による虐待や暴力は逃れようがない。しかし、ほとんどの子どもは学校にくる。学校は勉強をするところであるが、その学校を子どもの命を守るところと位置づけて、子どもの命を守るべきではないか。文部科学省に質問したが、まだ十分な回答はない。
 二〇一七年度、スクールカウンセラーの相談数三五一万件のなかで、たとえば性暴力の件数は四五〇〇件である。文部科学省に、この四五〇〇件のうち、加害者はだれなのか、親なのか、先生か、同級生かと聞いても、そのような調査はしていないとの答えだった。この四五〇〇件の経過はどうなったのかと聞いても、そういう調査はしていないとの答えだった。個人のプライバシーが知りたいわけではない。ただ、加害者がだれかによって対応が違ってくる。もし家のなかで性暴力を受けていたのであれば、親子分離なども必要である。相談聞き取りの用紙を統一して、どんな相談がきているか、把握し、分析し、対策を講じるべきではないだろうか。実態がわからなければ、対策も取れない。
 文部科学省に、スクールカウンセラーの研修はどうしているかと聞いたら、とくにしていないとのことであった。もったいない。研修や経験交流をすることで、もっとやれることが広がるのではないか。
 学校には養護教諭もいる。新潟県で、ある養護教諭の人と話をした。彼女は、性暴力の件とわかったので、親子分離をし、児童相談所に子どもを引き取って守ったという話をしてくれた。実際、現場ではさまざまな努力をしているのである。学校では、先生、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、さまざまな人たちがいる。それぞれが力を合わせて、もっと子どもたちの命を守ることができるのではないか。家のなかで性暴力で苦しむ女の子をなくしたいのである。
 そのために、予算や人材育成も必要である。自治体では、子どもたちに暴力に対する対処の仕方を教える市民団体の活動に補助金を出しているところもある。自治体では、学校現場で、暴力被害のワンストップサービスの連絡先や、せたがやホッと子どもサポートなどの小さな案内を子どもたちに配っているところもある。子どもシェルターももっと必要である。
 子どもに対するすべての暴力をなくすために、私たちがやれることがたくさんある。




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