福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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大学生は借金まみれ

〈『部落解放』2019年9月号〉

 

 下北沢の駅で街頭演説をしていると、女性の方に訴えられた。
 「私はシングルマザーで、お金がないのです。娘を大学にやりたかったけれど、入学金が払えなくて、大学に通わせることができませんでした。娘はとってもいい子なんです。高校は進学校に行っていて、クラスのなかで大学に進学しなかったのは娘だけなんです。いま、娘は二〇歳で、今日はアルバイトに行きました。何とかしてください」
 名古屋で、デパートの前で街頭演説をしていると、やはり話しかけられた。
 「私は大学三回生です。シングルマザーの家庭で、奨学金を借りています。ゼミにも入っているし、就職活動もやっています。よい会社に入らなくちゃいけないし、たいへんです」
 一九七五年当時の大学の授業料は、国立大学で年間三万六〇〇〇円、私立大学は年間約一八万円である。国立大学の授業料が安いということで値上がりが続き、それに合わせて私立大学もどんどん値上げされていった。現在、国立大学の授業料は約五四万円、私立大学は約八六万円、学部によって違いがあるが、私立大学では一〇〇万円を超しているところもある。大学の授業料と入学金は、ほんとうに高くなっている。昔と物価が違うから単純にはいえないけれども、借金をしなければ大学に行けない学生も多いという。
 また、五〇歳代の親の年収も下がりつづけているので、昔と決定的に違うのがアルバイトの意味である。昔は大学生のアルバイトといえば気楽なイメージがあったが、いまの大学生のアルバイトは、まさに生活のためで、簡単には休めない状況がある。
 大学の授業料が高くなったのは、国公立大学にも、私立大学に対しても政府の補助金がどんどん減額されているからである。大学の授業料を高くせざるをえないのだ。
 先日、二〇代前半の女性に会った。彼女は、ある国立大学に在学していたが、別の大学で勉強しようと思い、いったん大学を退学し、現在、大学受験のための勉強をしている。奨学金の借金が一〇〇万円ほどあると言っていた。これからまた大学に行きなおすと、新たな奨学金で借金が増えていくわけである。
 大学の授業料が高くなり、親に頼れず、大学生はアルバイトをし、また奨学金を受ける。大学生の半分が奨学金を受けていて、七割が有利子である。奨学金というよりも学生ローンである。返済しなければならない奨学金の額は、合計で三〇〇万円といわれている。私は、五〇〇万円、八〇〇万円、一〇〇〇万円もの借金があるという大学生に会ったことがある。さらにたいへんなのは大学院生だ。大学院生の人たちから話を聞いた。勉強がたいへんだし、また専門書は高価である。勉強や研究があるので、アルバイトばかりしているわけにはいかない。二〇〇〇万円借金がある、そんな人に会ったこともある。
 借金まみれで大学に行かなければならないという現実は、いったいどう理解したらよいだろうか。多額の借金を背負って社会人をスタートするというのもたいへんな状況である。先日、ある人から、奨学金を支払い終わるのが五四歳のときであるというのを聞いた。まさに自分の子どもが奨学金を受けるような年齢のときに、自分もまだ奨学金を返済しつづけていることになる。
 大学の授業料を下げ、奨学金を有利子ではなく、原則、無利子にするべきだ。また、大学の前に高校である。高校の授業料の無償化は完全ではなく、私立高校の無償化は各都道府県知事によりまちまちになっている。まず、高校の授業料の無償化をやらなければならない。
 そして、これまで取り組んできた小学校、中学校の給食の無償化の問題がある。無償化とともに有機化、オーガニック化も、できるところから進めたい。自治体のなかには給食の無償化を実施しているところもある。また、千葉県いすみ市などは米飯給食に地元の有機米を使っている。子どもたちのためにやろうではないか。
 OECD(経済協力開発機構)で、教育予算の割合が最下位であるということをまず変えよう。




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