福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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女性への差別と暴力をなくそう

〈『部落解放』2020年1月号〉

 

 日赤が献血のために作ったポスターが、胸がとても大きいマンガのキャラクターであったことが女性差別ではないかとインターネット上で問題になった。女性差別ではないという批判や、差別だと声を上げる女性に対するバッシングも起きた。職場で女性だけメガネを禁止したり、女性にパンプスを強制している会社があることも問題となり、パンプス強要は #KuToo 運動となり、大きな共感を呼んだ。しかし、これについても声を上げる女性たちへのバッシングが起きた。あるインターネット番組に呼ばれ、討論をした。まだまだ問題点が理解されていないと痛感した。
 フラワーデモに参加したことがある。女性に対する暴力、性暴力をなくそうというアクションで、全国各地で行われている。東京駅の近くで集会が行われた。女性が多いが、男性もいる。女性たちが静かに、あるときは怒りを込めて、自分が体験したことなどを語っていく。初めて自分の受けた性暴力について語るという女性もいた。その女性の思いを、発言を受け止める不思議な温かい空間と時間。私は、地べたにペタンと座って、一人ひとりの発言を聞いていた。連帯とシスターフッドという言葉が浮かんでくる。それにしても、と思う。女の子、男の子、子どもたち、女性たちはなぜこれほどまでに性暴力にさらされなければならないのか。なぜ沈黙を強いられてきたのか。本人が話したとしても、周囲の理解を得られず、さらに傷つけられてしまうのはなぜなのか。
 ある女性は「小さいときからスカートめくりを受け、トイレなどののぞき、そして、痴漢などの被害にあってきた」と言った。小さいときから女の子は性的なからかい、暴力を受けるのは当たり前、むしろ男性からの好意とされ、男の子も女の子も、そんな性的からかいや暴力を毎日毎日、空気のように吸って大きくなる。
 だからこそ、この「当たり前という空気」を変えること、とりわけ教育が大事なのだ。
 女性差別撤廃条約の第六回日本レポート審査の総括所見(二〇〇九年)では、「女性の過度な性的描写は、女性を性的対象としてみるステレオタイプな認識を強化、少女の自尊心の低下をもたらす」と警告している。そのとおりである。女の子としてかわいいかどうか、男の子にとって魅力的か、胸が大きいか、体つきはどうかなど、浴びるようにメッセージを受けて育てば、女の子の自尊心は低くなるばかりだ。
 刑法改正や被害者支援のための仕組みなどはもちろん必要だ。しかし、教育や社会からのメッセージはほんとうに重要で、男性と女性の関係性を変え、「避妊して」とか「私はこう思う」と相手の男性に言えるような教育や社会が必要である。そして、男性も、女性を対等なパートナーとして尊重する、力や暴力で問題を解決しない、人が嫌がることはしない、人を見下して強要したりしないという教育や訓練が必要である。
 連合のアンケート調査によると、女性の靴のヒールの高さを決めている職場は何と二割である。また、女性のみメガネ禁止という職場すらある。客室乗務員、一部の職場の受付、デパートなどの美容部員などである。フィンランド空港で長年働く女友だちに聞くと、彼女は働くとき、ずっとメガネをかけているという。フィンランド航空の男性の客室乗務員に聞くと、メガネをかけたり、かけなかったりするという返事。エールフランスをはじめ外国の女性客室乗務員はメガネはOKである。なぜ日本で、女性だけメガネ禁止なのか。パンプス強要もそうだが、あいかわらず職場で女性は見た目が一番、職場の癒やしや花として見られている面があるのではないか。
 このことを質問したら、厚生労働大臣は「雇用機会均等法の趣旨に反する」と答弁。そのとおり。ジェンダー差別である。職場のなかのいままでの「当たり前」を変えていかなければならないし、ジェンダー差別を一掃しなければならない。
 現在、パワハラ指針案が厚生労働省の検討会のなかで審議されている。就職活動のなかで五割の女性学生がセクハラにあっているというデータがあり、さまざまな大学の女性学生有志が、指針案に就活中のセクハラを盛り込むよう要望書を発表している。就活セクハラなど、なくすべきである。
 日本のなかで子どもや女性への性暴力をなくすために、教育やメディア、広告、表現も変えるべく、多くの人と力を合わせたい。




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