福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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給食を食べたい

〈『部落解放』2020年4月号〉

 

 私は食いしん坊なので、給食の思い出も大きい。読者のみなさんも給食についていろんな思い出を持っていらっしゃるのではないですか。
 小学校低学年のとき、男の子がふざけて鼻から牛乳を出したり、めちゃくちゃだった。給食の給仕をしてくれる五年生や六年生がとても大人に見えた。今度は自分が給食当番になって緊張したり、誇らしくもあった。
 私の友人や自治体議員の人たちが子ども食堂をやっている。兵庫県明石市は、小学校校区内に子ども食堂をつくることを応援し、一回につき上限二万円、年間上限七〇万円を領収書なしで支給していると聞いた。子ども食堂を応援している自治体も多い。
 私の友人の六郷伸司さんは、板橋区で子ども食堂をやっている。一度見学に行ったが、先日、二周年を迎えた。七年前から学習支援を始め、食べ物のことも大きいと思い、なんと三六五日、三食、毎日、子ども食堂をやりはじめた。大変な苦労があると思うが、六郷さんは飄々としている。
 子ども食堂も大事だけれど、あらためて給食の重要性を感じている。なんといっても、子どもたちが毎日食べるものである。給食が唯一の栄養源である子どもたちだっている。
 子どもの給食を無償化している自治体を訪ねた。無償化に所得制限もない。むしろ、給食費を徴収しないで済むし、子どもたちへの応援になるし、若い世代が引っ越してくるので、いいことばかりだと首長は語る。文科省に聞いたところ、全国のすべての公立の小学校・中学校で給食を無償化するのに必要な予算は、四二二七億円である。やれないことはない予算規模ではないか。
 いま、給食の有機化に取り組んでいる。国会議員二三人と、市民を入れて三〇人近く、髪を根元から五センチほど切ってフランスに送り、農薬がどれほど残留しているかを調べてもらったことがある。私も参加した。多くの国会議員の髪から残留農薬が検出された。いまは日本でも検出することができる。日本は、単位面積当たりの農薬の使用量が世界一である。大人はもちろんであるが、成長ざかりの子どもたちこそ安心安全な食材を食べてほしい。だから、給食を有機農業で生産された野菜でつくってもらいたい、そう心から思う。
 先日、石川県羽咋市を訪問した。羽咋市は、農薬、肥料、除草剤を使わない自然栽培農業を応援し、健康、安心安全というキーワードで自然栽培普及に努めている。これは羽咋市とJAが力を合わせてやっている。青森県の「奇跡のリンゴ」をつくった木村さんを呼んで講演会をしたことをきっかけに、農業塾を一〇年間続けて、そのなかで自然栽培農家を育ててきた。現在、三七農家が自然栽培農業をやっている。市は自然栽培農家に助成制度を設けている。自然栽培のお米を食べたが、もちもちしていて、ほんとうにおいしい。このお米を月に一度、学校給食へ提供もしている。
 千葉県いすみ市にも行った。いすみ市は学校給食米のすべてを有機米にしている。一週間のうち一日だけパン食だが、あとは有機米。また、学校給食に有機野菜も導入している。野菜は毎日ではなく、月に何回か献立によって提供するが、有機農業を営む人たちと栄養士さん、調理師さんたちが毎月、献立などを議論していると聞いた。いすみ市では長年、有機農業をやっている人たちがいたが、市長が有機給食にすると宣言し、市長のイニシアチブのもと、熱心な職員、農家のみなさんが力を合わせ、二〇一四年から二〇一六年、有機稲作モデル事業を行い、有機稲作を広げてきた。おいしく安全な地元のお米は「いすみっこ」と呼ばれ、ブランド化もされている。子どもたちは有機米給食と連携した食農教育を受けている。
 千葉日報の記事によると、祖父母が農業をしている一一歳の男の子が、「毎日の給食が楽しみ。農家を継いで、おいしい米をみんなに食べてもらいたい」と言ったという。地元でいい循環が生まれているのではないか。
 愛媛県今治市も、地産地消の有機野菜の導入などに力を尽くしてきた。今治市では小麦を生産していなかったが、地元で小麦を栽培し、輸入小麦粉と地元小麦粉の差額分を今治市が助成しているという。日本の給食費が、アメリカの農家を潤すのではなく、地元の農家を潤すことになる。農業の応援にもなるし、子どもたちは安心安全なものを食べることができるし、食育にもなる。
 取り組む自治体を増やし、学校給食法に「地方公共団体は有機給食に努めるものとする」という一行を追加できないだろうか。
 ゲノム編集食品が食卓に出てくるいま、子どもたちにこそ安心安全なものを提供したい。




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