福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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いまのいのちと生活を救え

〈『部落解放』2020年6月号〉

 

 みなさん、お元気ですか。新型コロナウイルス感染拡大のなかで、医療現場や介護の現場でがんばっている人たち、公務員や運送や公共輸送に携わる人々、スーパーやドラッグストア、コンビニで働いている人たちなどに心から敬意を表したい。
 高齢者のケアや子どもの世話、スーパーへの買い出しなど、さまざまなことでストレスを感じているみなさんにもエールを送りたいと思う。
 私は今回は、声を上げれば変わるし、違う未来をつくろうと言いたい。
 総理がオリンピック・パラリンピックの延期を記者会見で表明したのが三月二四日。厚生労働省のクラスター班の教授は、二月中旬から全国的に感染者の増加が加速していると指摘し、三月中旬には東京都などに緊急対策の資料を渡していた。オリンピックをやるという前提だったために、二月、三月と日本のコロナウイルス検査数を少なく抑えたのではないか。諸外国とくらべても一桁、二桁違う。検査をし隔離することが必要だが、それがなされてこなかった。無症状感染者がおそらく膨大に存在し、病院のなかでも院内感染を引き起こしている。
 あちこちで、発熱していても検査をしてもらえない、という不安な声や切実な声を聞く。
 検査を求める人が殺到して医療崩壊を起こしているのではなく、検査をせず隔離が十分行われていないために院内感染を引き起こし、医療崩壊を起こしているのである。
 厚生労働省は四月一五日、事務連絡を出して方向転換をした。各地の医師会などがPCRセンターをつくり、そこで民間に検査を頼み、PCR検査の拡充が行われることになった。いままで保健所で四つの要件がなければ受け付けられないと拒否していたものを、医師会やお医者さんたちのネットワークでPCR検査が受けられるようになったのである。委託費の二分の一は国が負担する。東京では二〇カ所にPCRセンターができる。新潟市や横須賀市はドライブスルー方式の検査などを始めており、鳥取県もドライブスルーなどを始める。ドライブスルーやウォークスルーなど屋外で検査をすることで、院内感染を防ぎ、また検査のスピードをアップすることができる。ようやくの転換である。
 検査をして、軽症者はホテルか自宅、重症者は病床という振り分けを厚生労働省は考えている。東京ではホテルなどへの委託が始まっている。現在、家族感染が広がっている。日本は狭い屋内であるから家族感染は起こりうる。家族がクラスターになることがイタリアの例でも明らかである。だから、自宅隔離ではなく、ホテルできちんと隔離し、万が一重症化した場合には病院に移送するということが必要である。
 また、限られた世帯に三〇万円を払うということも撤回になった。一人一律一〇万円の給付である。そもそも、さまざまな所得の証明をしろと言われても、書類がなかったり、ほんとうに困難である。また、世帯といっても、一〇人の世帯もあれば一人の世帯もある。収入による線引きをすることで、きわめて不公平になる。だから、一人一律一〇万円を当初から主張してきた。この転換もできてほんとうによかった。
 初めからこうすればよかったのである。
 ドイツやフランスやデンマーク、スペインなど、さまざまな国では休業補償をしっかりやっている。日本では休業補償がきわめて不十分である。外出自粛を言うのであれば休業補償が必要だ。それがなければみんな無理して働く。GDPが日本よりはるかに少ない国でも休業補償をやっている。なぜ日本でやれないのか。二〇二〇年度予算が成立したのは三月末である。この予算にはコロナ対策は一円も入っていない。三月の時点ではコロナ対策が大問題になっていた。防衛予算やさまざまなものも含めて不要不急なものについては予算から落とし、予算の組み替えをすべきだったのである。
 先々の経済対策ではなく、いまのいのちと生活を救えという気概が政治のなかで希薄である。みんなの毎日の、今日の悲鳴が聞こえていないのだろうか。
 現在と未来を変えなければならない。一握りの人たちのための政治ではなく、だれ一人取り残さない政治へ、いのちを大切にする政治へ。強権的な政治を待望するのではなく、感染者をなくし、みんなが生きられる社会を、民主主義やみんなの声でつくりたいものである。実はみんなの声が政治や政策を変えている。みんなの力で生き延びよう。




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