お詫び

『知っていますか? 色覚問題と人権 一問一答』にかかわって

(2005/07/12up)




 解放出版社より発刊いたしました『知っていますか? 色覚問題と人権 一問一答』(尾家宏昭・伊藤善規、二〇〇四年七月刊)の中の「問16 学校において配慮すべきことはどういうことですか?」(同書82頁〜)において、かつて学校で使用されていた教科書に記述されている文章を引用しました。これは、「色覚異常」について誤った認識を広げる一因が教科書の記述にもあったのではないかという見解によるものです。しかし、その内容には「色覚異常」の他にも「精神障害」に対しても誤解や偏見を助長するものがありながら、本書ではそれについての説明が不十分ではないかというご指摘をいただきました。
 以下、その点に関しての、私たちの考え方を述べさせていただきます。

 第一に、引用した教科書の中で、「精神分裂病」という用語を用いている点です。この呼称は、その症状を正確に表現しているとはいえず、また、この呼称は、当事者に対する偏見をさらに助長するものであるという理由から、現在では「統合失調症」という呼称が広く用いられています。日本精神神経学会も、二〇〇二年の総会でこの呼称を採択しています。引用した教科書が作られた当時は、「精神分裂病」という呼称が用いられていたとしても、現時点で引用する際には、その点に関して、ひとこと注釈をつけるべきであったと考えます。
 第二に、引用した教科書が、精神病を遺伝病としてとらえている点です。精神病は、かつて医学界でも親からの遺伝によって伝わるものと誤って考えられていました。その考え方にしたがって教科書の中でそのような表現がされていたと思われます。しかし、今日では、様々な研究の結果、精神病を遺伝病だとする考え方は否定されています。したがって、引用した教科書の記述は、明らかに誤りです。
 精神障害者に対する社会の偏見・差別のうえに、遺伝病であるという社会の誤解が、当事者やその家族を苦しめていることを考えると、引用する以上、この点についても、きちんと説明すべきであったと考えます。
 第三に、引用した教科書の中の、遺伝する病気の人びとは、「不用意に結婚したり、子どもを産んだりすることは避けなければならない」とする教科書の記述です。このような考え方は、遺伝病とされた病気や障害を持つ人の尊厳を否定する優生思想の考え方です。遺伝によって受け継がれる病気や障害であっても、その病気や障害によって社会的な差別や不利益をこうむることなく、尊厳を持って生きていける社会にしていくことが重要です。

 引用した教科書の内容は、「色覚異常」と判定された当事者にとっては、著しく人権を侵害する内容であり、当然、受け入れがたいものです。しかし、それ以外にも、人権の視点に立つとき、用語や内容が不適切であったり、偏見・差別を助長する記述があります。その点につきまして説明が不十分で、配慮を欠いたと言わざるを得ません。
 こうした点につきまして、関係者の皆様に大変ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

                                執筆者一同
                                株式会社 解放出版社  
  




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