コラム・水平線

月刊誌『部落解放』の巻頭コラム「水平線」を著者のご了解を得て、転載いたします。

(2012/8/24up)




◆ こども通貨『まーぶ』の挑戦!

〈『部落解放』2012年8月号掲載〉

武田 緑

 大阪府箕面市では今、じわじわと、こどもたちが自分でかせいで使える『まーぶ』というお金が流通し始めています。
 『まーぶ』とはこどもたちの未来をはぐくむ地域通貨です。こどもたちが、地域活動に参加し、自分の力になるようなことを学んだり、できること・得意なことを生かして仕事をすることでかせぐことができ、地域のお店やイベント、習い事に使えたりします。また、ためることで、海外へスタディツアーに行ったり、コンペで夢をかたり実現することもできます。
 『まーぶ』をかせぎ、使い、またかせぐという行為がこどもたちの日常になることで、こどもたちが地域内外の様々な人や場やテーマとつながり、多様な生き方や仕事にふれ、未来の可能性を広げていくことが、しかけた大人たちの狙いです。
 大人になったときに、自分が納得のいく人生を選びとっていける力をもつためには、必要なことがたくさんあります。ホッと安心できる人間関係、刺激的な人やテーマとの出会いやつながり、達成感や感動が得られるような体験や経験、それらに支えられる自己肯定感などがそうです。私たちはこういったものをまとめて「未来への糧」と呼んでいます。
 でも、現実には生まれ育った環境によって、「未来への糧」を得られるかどうかには、大きな個人差があります。その現実を越えるために、地域の大人たちがネットワークでこどもたちのセーフティネットを底支えし、「未来への糧」を得られる機会が町中にあふれている状況をつくろう! ということが私たちのチャレンジです。
 『まーぶ』が生まれたのは箕面市の北芝という地域です。「であい・つながり・げんきになろう」というキャッチコピーのもと、多種多様な取り組みがあります。困っている人がなんでも相談できる機関があったり、地域の人が集う朝市があったり、地域内外の人の出会いの場になるコミュニティカフェがあったり、こどもたちがたまれる駄菓子屋があったり。地域の人たちが安心していきいきと暮らせるための活動やグループが実にたくさんあります。北芝は、被差別部落です。差別によって、外の人たちはこの地域を避け、この地域の人たちは外の人やコミュニティに対する不信感や不安を抱かざるをえず、人と人とのつながりが断たれてきたという歴史をもっています。また、今でも貧困や教育への低意識など、負の連鎖を断ち切れたとはいえない現実が横たわっています。でも、だからこそ今、人と人がつながることで様々な課題を乗り越えようとしているのです。
 そのような取り組みのひとつとして『まーぶ』も生まれました。
 『まーぶ』は今、北芝にとどまらず、社会基盤の弱い子どもたちを地域で支えるセーフティネットに、そして未来に希望をもてるきっかけになるべく、箕面市内全域に広がろうとしています。『まーぶ』を介して、こどもたちが自分に自信をもち、人とつながることで、未来に希望をもてるような社会をつくりたい。『まーぶ』はこどもの夢だけでなく、かかわる大人の夢も育てています。

( たけだ・みどり/こども通貨会議)

まーぶWEB http://ma-bu.org https://www.facebook.com/maabukun(facebook) https://twitter.com/#!/ma_bukun(twitter)


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