コラム・水平線

月刊誌『部落解放』の巻頭コラム「水平線」を著者のご了解を得て、転載いたします。

(2013/11/21up)




◆ 被災地に出前講座・相談会の日々

〈『部落解放』2013年11月号掲載〉

やはたえつこ

 二〇一二年、宮城県警へのストーカー相談は九八五件、過去最多。DV相談、前年比三三%増で一八五六件。二〇一三年、一〜六月のストーカーとDVの相談件数は、過去最多を更新した。ストーカーの相談は前年同期より三五件多い五〇八件。DV相談は七六件増の九四一件。相談が増えるのはよいことだと思う。広報の効果が出ている、電話相談員の対応が、的を射ているから警察まで届けるのだと考える。
 気仙沼への旅。線路が復旧しないので高速を車で飛ばし、岩手県一関市を経由し二時間半。帰りは「沿岸部の復興のようすを見たい、沿岸部を通ろう」としたら、夕刻の仙台に帰る車のラッシュに巻き込まれ、自宅到着は四時間後だった。沿岸部はホテル不足で日帰り必須。被災地の交通実態は、まだそのような状態である。
 相談の方に「仙台においでください」と言っても、山形市、盛岡市から来るより大変。沿岸部の南三陸町、山元町で法テラスの弁護士相談が開かれているが、電話相談は多いけど、無料の弁護士相談は少ないという。弁護士相談それ以前の段階で、悩み混乱している人びとがいる。
 「それなら私たちが出向くしかない」と県の委託で、被災地で連続講座を開催している。午後にはDVで悩む方の相談の場と癒しの手工芸をセットにして開催している。なんと講座は三四回、相談は三六回、話し合いと癒しの手工芸(パープルタイム)は四九回。ハーティ仙台のスタッフ四人〜五人で、週に一回から二回は遠出している。通常活動を行ったうえでの遠征。正直、過労気味である。
 講座は、@DV被害者支援の基本、A離婚をめぐって(DV・高齢者虐待)、BDV被害からの回復とフェミニストカウンセリング、CデートDV・性暴力、Dハラスメント(セクハラ・パワハラ)の五講座。@BCは、ハーティ仙台スタッフの講義、ADは人権問題に熱心な女性弁護士に依頼した。
 企画は初めから、歓迎されたか? いいや、さまざまだった。熱心で積極的な行政担当者もいた。「参加者はいるでしょうか」と心配そうな方もいた。ほとんど拒絶の雰囲気の町もあった。しかし、集まる民生・人権委員、相談関係者、仮設支援の福祉系分野の若い男女、被害当事者の市民、五〇人から七〇人でスタートを切っている。
 参加者は、びっくりし、共感してうなずく。表情を見ればわかる、多くの方にしっかり通じている。むろん、反発と思われる感想も混じる。「あの、女性がDVして逃げたのに、なんで残った男性が養育費を払うのですか?」という質問もある。日々の生活支援者には隠し通しているのがDV。DVから子連れで逃げると「男をつくって消えた」と故郷で言われている。
 しかし、地方開催で相談担当者と顔が見える関係ができた。相談担当者と共同で事例の検討を行い、良い効果がつかめた。参加した当事者の劇的な展開も次々起きている。「足を運べば、何かが変わる」。これは、二年間、県北の登米市で官民共同企画を行い、つかんだことである。しり込みしていた企画担当男性も激変した。「人は話せばわかる」と思った。むろん「わかりたくない人びと」にも会っている。でも確実に、“わかる人がじわじわ増えている”のを感じる。詳細はハーティ仙台のHP(http://hearty1999.exblog.jp/)で。

(やはたえつこ/NPO法人ハーティ仙台代表理事)


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