コラム・水平線

月刊誌『部落解放』の巻頭コラム「水平線」を著者のご了解を得て、転載いたします。

(2013/12/25up)




◆ イランカラテキャンペーン ◆

〈『部落解放』2013年12月号掲載〉

竹内 渉

 北海道のおもてなしの心を表す言葉として、アイヌ語のあいさつ「イランカラテ」が取り上げられることとなった。
 「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」報告(二〇〇九年七月)では、現状の普及啓発活動は、行政が主体の場合が多く、全国的な広がりを見ていない等の課題があると指摘された。また、現在検討中のアイヌ政策推進会議(座長:内閣官房長長官)の政策作業部会報告では、北海道外ではアイヌの人々の暮らしや文化に関する情報発信が盛んとは言えず、北海道内でもアイヌの歴史や文化等の背景・現状について、必ずしも深い理解に立っていないとの指摘があった。
 このような課題などがある現状をふまえ、二〇一三年から三年間継続的・段階的にキャンペーンを展開していくこととなった。推進主体は、北海道知事、アイヌ協会理事長、関係市町長、学識経験者などが構成メンバーのイランカラテキャンペーン推進協議会(会長、小西昭内閣官房アイヌ総合政策室長)がになう。
 アイヌ文化へのさらなる取り組みの裾野を広げるため、賛同するあらゆる機関等(行政、企業・団体、個人、アイヌ、教育機関など)からの幅広い参画を募り、自由な発想、創意工夫の尊重、一体感・統一感を確保するため、ロゴマーク、キャッチフレーズを選定し、その使用を推奨していくことになった。
 八月二八日、北海道の空の玄関口である新千歳空港で開催された「キックオフセレモニー」には、推進協議会の構成員の他にも多数出席し、キャンペーンがスタートした。会場では、アイヌ文様を取り入れた統一ロゴマークも披露され、空港利用客などにPRした。
 キャンペーンを周知する新聞広告に加藤忠アイヌ協会理事長は次のコメントを寄せた。「(前略)イランカラテ、アイヌ語のあいさつ言葉のなかでももっとも丁重なもののひとつであり、北海道のおもてなしの言葉として、最適なものと思います。北海道民の方々も、北海道にお越しになられるみなさまも、シサ(良き隣人)として心から歓迎いたします。私たちアイヌ民族が、北の大地・アイヌモシで育んできたアイヌ民族伝統文化にふれていただき、私たちアイヌ民族に少しでも心を寄せていただければ幸いです」
 空港や駅などの場での展示、古式舞踊の披露などを通じてアイヌ文化をさまざまな方法で紹介していく予定である。専用Web(http://www.irankarapte.com/)でアイヌ文化や関連イベント、サポーターの紹介などをしているので、ぜひ覗いてみてほしい。
 イランカラテが、ハワイのアロハや沖縄のメンソーレのように広く深く浸透していくことを願っている。

(たけうち・わたる/社団法人北海道アイヌ協会)


コラム・水平線INDEXに戻る



HOME

JINKEN BOOKは、(株)解放出版社が提供しています。 無断転載を禁じます 。
Copyright (C)Buraku Liberation Publishing House Co.,ltd 2001, All Rights Reserved


E-mail

(株)解放出版社
Phone:06-6581-8542(代表) Fax:06-6581-8552
東京営業所: Phone:03-5213-4771(営業) FAX:03-3230-1600